「従業員が少ないから」「売上が大きくないから」と、M&Aは自社に関係ないと考える必要はありません。買い手が求めるものは会社の規模だけではなく、顧客との関係、技能、設備、地域での役割などさまざまです。一方で、小規模なら必ず売れるということでもありません。次の経営者が事業を続ける条件を整理することから始めましょう。
引き継ぐ価値を仕事の中から探す
たとえば、継続的な保守業務、特定の加工技術、経験のある少人数のチーム、地域の顧客基盤などは、候補先が検討する材料になります。売上額だけで説明せず、なぜ発注が続くのか、他社が同じ仕事を始めるには何が必要かを言葉にします。実在する自社の契約や実績に基づいて説明し、将来の受注を確実であるかのように見せないことも大切です。
経営者が抜けた後の姿を考える
小規模企業では、営業、作業、経理を代表者が兼ねていることがあります。その場合、利益が出ていても、代わりの人材を置く費用や期間を考える必要があります。すべての属人化をなくすことは難しくても、重要業務を一覧にし、誰が覚えられるかを整理できます。顧客への同行や技術指導に協力できる範囲を示すことも、引継ぎ計画の材料になります。
- 毎月・毎年繰り返す仕事と主要な顧客層
- 経営者が直接担う業務と、一人で判断している事項
- 必要な資格、設備、仕入先との関係
- 譲渡後に協力できる期間と、引退を希望する時期
会社全体以外の引継ぎも検討する
会社全体の株式譲渡だけでなく、対象を定めた事業譲渡などが検討される場合もあります。保有資産と事業をどう扱うか、買い手が現場を運営できるかによって方向は変わります。費用、契約、許認可、雇用などの確認も必要になるため、単純に「設備と顧客を渡せばよい」とは考えず、実行できる形を専門家と検討します。
選択肢が残る時期に相談する
売上の減少や設備の故障が進む前に状況を確認すれば、準備に使える時間を確保しやすくなります。売却を決めていなくても、概要を伝えて可能性と課題を聞くことはできます。譲渡が難しい事情が見つかった場合も、改善できる点、他の承継方法、今後の経営方針を考える材料になります。規模だけで結論を出さず、続いている仕事の中身から検討しましょう。
売却を決める前から、会社のこれからをご相談ください。

