土地や工場を保有する会社のM&Aでは、事業の価値と不動産の条件が重なります。帳簿上の金額が、そのまま売却時の価値になるとは限りません。誰が所有し、何に使い、今後どの程度の費用が必要かを確認することから始めましょう。
会社と個人の所有を分けて確認する
工場の土地は社長個人、建物は会社というように、所有者が異なる場合があります。登記事項、固定資産台帳、賃貸借、担保設定の資料を集め、所有と利用の関係を図にします。親族や関連会社が所有する部分も含め、誰の合意が必要かを整理しましょう。隣接地や通路など、日常的に使っている範囲の権利関係も確認事項です。
事業に必要な資産と余剰資産を区分する
生産に使う建物、駐車場、資材置場、遊休地などを区別します。不動産ごとに、事業継続に必要か、将来使う予定があるか、維持費はいくらかを整理します。売却対象から一部を外したい場合も、後から容易に切り離せるとは限りません。想定する手法と税務上の影響を専門家へ相談し、早い段階で比較しましょう。
- 各土地・建物の所有者、用途、使用者
- 借入の担保や第三者との契約
- 固定資産税、保険、修繕などの維持費
建物や設備の状態を説明できるようにする
増改築、修繕、点検の履歴と、今後予定する工事を整理します。用途、法令への適合、境界、土壌・地下埋設物などは、必要に応じて専門的な調査を検討します。問題の有無を資料なしに断定せず、確認済みの事項と調査が必要な事項を分けることが重要です。候補先にとっては購入後の費用を見通す材料になります。
所有を移すか貸すかも比較する
事業と不動産を一緒に譲渡する場合と、経営者側が不動産を保有して貸す場合では、対価、賃料、修繕責任、将来の利用条件が変わります。譲渡後の生活設計と買い手の運営計画を合わせて検討しましょう。評価や契約条件は個別性が高いため、不動産・法律・税務の専門家と確認しながら決めることが必要です。
一般的な検討事項として整理しています。個別の手続・条件は関係先や専門家へご確認ください。参考:中小企業庁「中小M&Aガイドライン」


