会社売却は、契約を結んで代金を受け取れば事業の引継ぎがすべて終わるわけではありません。新旧の経営者や従業員が、働き方や業務の進め方をすり合わせる必要があります。この取組はPMIと呼ばれます。売り手も早い段階から協力内容を考えておくと、成約後の混乱を減らす準備ができます。
初日から止められない仕事を洗い出す
最初に確認するのは、新しい制度の導入よりも、現在の事業を続けるための仕事です。給与支払、仕入、納品、請求、入金確認、顧客対応の担当者と手順を明確にします。銀行取引、業務システム、印章、重要書類の管理も、担当者の交代時に抜けやすい項目です。引継日までに必要な準備と、その後に見直せる事項を分けましょう。
すぐに変えることと残すことを合意する
買い手の仕組みを一度に導入すると、現場でこれまで機能していた工夫が失われることもあります。承継前に、既存の業務を続ける理由を説明し、変更による影響を確かめます。会計報告など統一が必要な領域と、接客や製造工程など現場の理解が必要な領域では、進め方を変えることが考えられます。
- 継続する取引・作業と、その責任者
- 早急に対応する課題と、変更の期限
- 買い手の承認が必要となる金額や判断事項
- 従業員・顧客からの相談を受ける窓口
前経営者の役割を具体的に決める
「しばらく手伝う」だけでは、現場に二つの指揮系統ができたり、前経営者の負担が終わらなかったりするおそれがあります。取引先への紹介、技術の説明、重要案件の引継ぎなど役割を決め、活動日数、期間、報告先をすり合わせます。前経営者しか知らない情報は、同行や口頭説明だけで終えず、担当者が後から確認できる形に残します。
小さな行き違いを確認する場をつくる
成約直後は、問題がないように見えても従業員が遠慮している場合があります。一定の間隔で、受注、離職、顧客からの問い合わせ、作業負担などを確認します。売り手側が把握した違和感を新経営者へ伝える連絡経路も決めておきましょう。すべてを一度に統一せず、事業の継続に必要な順番で進めることが現実的です。
売却を決める前から、会社のこれからをご相談ください。

